フリーランス(特定受託事業者)と労災保険

フリーランス(特定受託事業者)と労災保険

《厚生労働省労働基準局長通達 令和6年4月26日 基発0426第2号 抜粋》

フリーランスの事業や作業の内容は多様であり、新しい形の事業や作業を行う者が幅広く労災保険に特別加入できるよう制度の見直しを行うことが課題となっており、成長戦略等のフォローアップ(令和5年6月16日閣議決定)において「労災保険特別加入制度の対象に一定の要件を満たすフリーランスを追加することについて、労働政策審議会で審議を行い、早期に結論を得て、所要の措置を講ずる。」とされた。

こうしたことを踏まえ、今回の特別加入の対象の拡大に当たっては、フリーランスが幅広く加入できるように、「フリーランス法に規定する特定受託事業者が、業務委託事業者から業務委託を受けて行う事業(特定受託事業者が、業務委託事業者以外の者から同種の事業について物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供の委託を受けて行う事業を含む。)」を新たに、特別加入の対象事業とすることとした。

実施時期は、フリーランス法の施行の日(令和6年11月1日)から施行された。

  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)(令和5年法律第25号)
    (参考)同法パンフレット

◆特定フリーランス事業を行う者に係る特別加入の新設(労災則第46条の17第12号関係)

(1)加入対象事業

フリーランス法第2条第1項に規定する特定受託事業者(以下「特定受託事業者」という。)が同条第5項に規定する業務委託事業者(以下「業務委託事業者」という。)から同条第3項に規定する業務委託を受けて行う事業(以下「特定受託事業」という。)又は特定受託事業者が業務委託事業者以外の者から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事業であって、労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号。以下「労災則」という。)第46条の17第1号から第11号までに掲げる事業及び労災則第46条の18各号に掲げる作業を除いたもの(以下「特定フリーランス事業」という。)。

(2)加入対象者

加入対象者は、下記いずれかに該当する者であること。

(ア)
労働者以外の者であって、特定フリーランス事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者。
(イ)
労働者以外の者で、上記(ア)が行う事業に常態として従事する者。
ここで、「特定受託事業者が業務委託事業者以外の者から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事業であって、労災則第46条の17第1号から第11号までに掲げる事業及び労災則第46条の18各号に掲げる作業を除いたもの」について、業務委託事業者以外の者(いわゆる消費者)のみから委託を受けて事業を行う者は対象とならない。
ただし、業務委託事業者以外の者(いわゆる消費者)のみから委託を受けて事業を行う者であっても、業務委託事業者(いわゆる事業者)から業務委託を受けて事業を行う意向を有する場合には、対象となること。
また、業務委託事業者(いわゆる事業者)から業務委託を受けて行う事業とは異なる事業について、業務委託事業者以外の者(いわゆる消費者)から委託を受けて行う者は対象とならないこと。

(3)災害の認定基準

業務災害の認定

(ア)

業務遂行性は次の行為を行う場合に認めるものとする。

a

契約に基づき報酬が支払われる作業のうち特定フリーランス事業に係る作業及びこれに直接附帯する行為(「直接附帯する行為」とは、生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。)

(注1)
「特定フリーランス事業に係る作業」とは、特定受託事業者が行う作業のうち、業務委託を受け契約を締結してから最終的な物品、情報成果物又は役務の提供に至るまでに必要となる作業をいう。ただし、自宅等で行う場合については、特に私的行為、恣意的行為ではないことを十分に確認できた場合に業務遂行性を認めるものとする。
(注2)
「直接附帯する行為」としては、例えば、契約を受注するための営業行為、契約締結に付随する行為及びその事務処理等が該当する。
b

契約による作業に必要な移動行為を行う場合(通勤災害の場合を除く。)

  • 契約を締結するための事前打ち合わせに係る移動、業務委託事業者又は業務委託事業者以外の者からの指示による別の作業場所への移動等
c
突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上の場合
(イ)
業務起因性は、労働者の場合に準ずること。

通勤災害の認定

特定フリーランス事業を行う者の住居と就業の場所との間の往復を想定し、通勤災害についても労災保険の対象とし、通勤災害の認定については、労働者の場合に準ずること。

(4)一人親方等及び特定作業従事者との関係

昭和40年12月6日付け基発第1591号通達の改正と同旨であるが、労災則第46条の17第1号から第11号まで及び労災則第46条の18各号において規定する事業又は作業については、特定フリーランス事業としては業務遂行性が認められない。
従って、特定フリーランス事業への加入を希望する者等が行う業務が、労災則第46条の17第1号から第11号までにおいて規定する事業及び労災則第46条の18各号において規定する作業のいずれかに該当する場合には、当該事業又は作業に係る特別加入団体を通じて加入する必要があること。
労災則第46条の17第1号から第11号まで及び労災則第46条の18各号において規定される事業又は作業と特定フリーランス事業については、その業務遂行性が認められる範囲が異なるため、そのいずれも行う場合において、それぞれの事業又は作業で労災保険の適用を受けるためには、それぞれで特別加入をしていることが必要となる。
よって、新たに特別加入申請書を提出する特別加入団体に対しては、当該事項について積極的に周知すること。
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  • 日本労働組合総連合会
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